【コラム】友利 新先生が解説「NMNとは?」 
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友利 新先生が解説「NMNとは?」
友利 新先生が解説「NMNとは?」
近年、美容と健康において注目を集めている「NMN」について友利先生に伺いました!
近年、美容と健康において注目を集めている「NMN」について友利先生に伺いました!

ドクターケイ小河
友利先生、最近「NMN」という言葉をよく聞くのですが、詳しく教えてください!

友利先生
NMNは「ニコチンアミドモノヌクレオチド」の略称で、ビタミンB3(ナイアシンアミド)から生成される、もともと人の体内にも存在している物質です。
近年、「若返り」や「アンチエイジング」など、「老化」にアプローチする成分として注目されており、「NMNを体内でどうやって増やすか」「どんな形で取り入れていくか」「化粧品として肌にどのように浸透させていくか」ということが、議論されています。

人の体内にも存在していて「老化」にアプローチする成分なんですね!
具体的にどのようにアプローチしていくのですか?

「老化」と一口に言っても原因は様々ですが、近年、「老化の特徴の核心はNAD+の低下にある」と研究が進んでいます。
ここからは、「老化」へのアプローチについて語るうえで欠かせない、NAD+とNMNの関係性を、分かりやすく一つ一つ解説します。

例えば、体を動かすためにはエネルギーが必要不可欠ですね。
このエネルギーがどこで作られているかというと、細胞内に存在している「ミトコンドリア」ですが、ミトコンドリア内に「NAD+」がないとエネルギーが作られないんです。

細胞内に存在している「ミトコンドリア」の内部でATPが生成されること、そしてATPの生成にはNAD+が活躍する 細胞内に存在している「ミトコンドリア」の内部でATPが生成されること、そしてATPの生成にはNAD+が活躍する

通称「エネルギー工場」とも呼ばれるミトコンドリアでは「ATP(アデノシン三リン酸)」が生成されます。
ATPとは、生物に必要不可欠なエネルギーの供給源で、「生命のエネルギー通貨」とも呼ばれます。
ATPを生成するためには、食べ物などから摂取した栄養素をエネルギーに変換する必要があり、ここで「NAD+」が活躍します。
NAD+は細胞内の様々な反応で使われ、生物が生きていくために必要なエネルギーを作るのに必須の物質なのですが、体内のNAD+の量は加齢とともに低下していきます。

実際にどんな症状で体に表れるか、例があると分かりやすいでしょうか。

・最近太りやすくなってきた
・昔と同じような化粧品を使っても肌実感を感じにくくなってきた
・ターンオーバーが遅いと感じる

これらが起こるのはすべて「エネルギー代謝が遅くなる」からです。
すなわち、NAD+の減少により、効率よくエネルギーが作られなくなってしまったということですね。

なるほど…!
ではNAD+の減少を防止出来れば、効率よくエネルギーが作られ、老化を防ぐことができるということでしょうか?

その通り!
実は「NAD+」は、冒頭で話したNMNを基に体内で作られます。
NAD+を直接体内に摂取することは難しいので、NAD+の基であるNMNが注目されているんですよ!

またNAD+が活性化すると、ATPを作って代謝を上げるだけでなく、長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)が活性化し、活性酸素を消去しますので、様々なアプローチで体の老化を防げます。

冒頭でもお話しした通り、NMNはビタミンB3(ナイアシンアミド)由来の物質です。
そのためビタミンB3でも上記の活性化が期待できますが、ビタミンB3よりも変換が1段階少ないNMNのほうが、より効率よくNAD+を増加させアンチエイジング効果を発揮しやすいんです。
だから一躍有名になって、サプリメントなどにも配合されるようになりました。

ビタミンB3(ナイアシンアミド)よりも1段階効率よくアンチエイジング効果を発揮するなら、化粧品にもたくさん入れたいですね!

そこがNMNの難しいところ。
NMNは不安定な成分で酸化しやすく、分子量が大きく水溶性のため、皮膚のバリア層である角質層を通過しにくいと言われています。
しかし、現在多くの研究が進んでおり、「NMN誘導体」として化粧品に配合することで、課題をクリアし、水溶液中でも安定して使用できることが確認されています。

またNMN誘導体は低濃度でも伝達効率が良く、皮膚細胞などの組織内でNMNからNAD+への変換がスムーズに行われるので、効率よくアンチエイジング効果を発揮すると言われています。

数年前まで、「NMNは皮膚に浸透しないから配合しても意味がない」と言われていましたが、研究が進み「NMN誘導体」として配合することで課題を解決できるようになりました。

「NMN誘導体とNMNの皮膚透過度の比較」の図を見ると、浸透力の違いが一目瞭然ですね!

最近では「ミトコンドリア」や「ATP」に着目した研究が盛んな印象で、今後も化粧品業界の1つのキーワードになっていくと感じています。
今回の「NAD+」「NMN」「NMN誘導体」のお話も「ミトコンドリア」や「ATP」が関連していますよね。

今後、化粧品で「NMN誘導体」がたくさん使われる未来が楽しみです!

「NMN」は、体内のエネルギー代謝を支える「NAD+」の前駆体で、老化予防に注目されています。近年は浸透性を高めた「NMN誘導体」が化粧品にも活用され、アンチエイジング分野で期待が高まっています。
「NMN」は、体内のエネルギー代謝を支える「NAD+」の前駆体で、老化予防に注目されています。近年は浸透性を高めた「NMN誘導体」が化粧品にも活用され、アンチエイジング分野で期待が高まっています。

※Anti-Ageing Co.,ltdから引用

   

友利 新先生

沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。
現在、現在都内2ヵ所のクリニックに勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の情報を発信。美と健康に関する著書も多数。
YouTubeチャンネル『友利新/医師「内科・皮膚科」』は登録者数160万人以上。(2025年7月時点)

コラム一覧
  • 【友利新先生コラム-01】ビタミンCとは?
  • 【友利新先生コラム-02】レチノールとは?
  • 【友利新先生コラム-03】ナイアシンアミドとは?